がんの代替療法のひとつに、コロイドヨード療法があります。コロイドヨードは、消毒液に使われるヨードをコロイド状にしたもので、医師が末期がん患者さんに提供することがあります。

しかし、世間ではあまり「コロイドヨードでがんが治った」という話は聞かないと思います。そのため、まれにコロイドヨードとがん治療に関する情報が報じられても、「信憑性が低い」と認定されてしまいます。

そこでこの記事では、医師の「証言」を紹介します。
その医師は、実名を明かしてコロイドヨード療法の「成果」について公表しています。この情報こそ、がん患者さんやその家族が知りたかったことではないでしょうか。

前山和宏著「末期がん 逆転の治療法」(幻冬舎)について

その医師は前山和宏医師といい、医療法人社団鳳龍会メディアートクリニック(東京都・日本橋)の理事長兼院長です。
前山医師は日本大学医学部卒で、これまで国立東京第二病院(現、東京医療センター)の総合診療科・消化器科や、府中医王病院の内科・在宅医療部などで臨床医として勤務してきました。

前山氏はがん患者さんを治療するなかで、「あきらめることなく新しい治療を提供すること」や「医師任せにしない、患者さんが納得する治療」「強制しない医療」が必要であると考え、独立開業しました。

前山医師は、末期がん患者さんにコロイドヨードなどの代替医療を提供しています。ここで紹介する症例は、前山医師の著書「末期がん 逆転の治療法」(幻冬舎)からピックアップしたものです。
この本にはコロイドヨードを服用して胃がんがほぼ完治した症例や、乳がんから、肺、肝臓、骨に転移したがんが消失した症例などが紹介されています。

そして前山医師は、よい結果が出た治療だけでなく、うまくいかなかったケースも赤裸々に告白しています。医師が成功しなかった治療を本で紹介することは勇気が要ることです。前山医師の誠実さがうかがえると思います。

それでは症例を紹介します。

症例1:7センチの膵臓がんが2センチに

最初に紹介するのは、コロイドヨード治療が完了しなかった症例です。「末期がん 逆転の治療法」の症例の章で、最初に紹介されています。

53歳男性の膵臓がんは7センチにまで拡大していました。膵臓がんは元々完治が難しいがんなのですが、それだけの大きさになると手術すら難しくなります。
この症例でも主治医は男性に、手術はできない、抗がん剤も期待できない、と告げました。要するに何もできないというのです。

がんが縮小し手術ができるようになった

それで男性は前山医師のクリニックにやってきました。コロイドヨードの内服とコロイドヨードの点滴を1カ月行ったところ、膵臓がんの大きさは2センチにまで縮小しました。
すると元の主治医は、2センチなら手術で膵臓がんを取り除くことができる、と男性に伝えました。
男性は手術を選択し、コロイドヨード治療を中断しました。

前山医師は「もっとコロイドヨード治療をしたかったが、患者さんの選択なので反対しなかった」と振り返っています。

症例2:開腹手術をして手遅れとわかった胃がんと腹膜播種

がんはCTやMRIなどの画像機器を使って見つけます。しかし、飛び散ったがん(播種したがん)は、CTやMRIでも映し出せないことがあります。

67歳男性の胃がんが、まさにその状態でした。外科医が胃がんを切除するため開腹手術をしたところ、腹膜(ふくまく)という臓器にもがんが飛び散っている「腹膜播種(はしゅ)」がみつかりました。外科医は「手遅れ」と判断し、切除をせず手術を終わらせました。

抗がん剤を拒否してよかった?

通常はこの後、抗がん剤の治療に移行しますが、男性はそれを拒否し前山医師のところにやってきました。
前山医師により、男性はコロイドヨードを内服することにしました。1週間で体調が回復し、3カ月後には体重が10キロほど増え、胃がんを発病する前の体重に戻りました。
そしてコロイドヨードの服用から8カ月後の胃内視鏡検査で「ほぼ完治」したことが確認されました。

前山医師は本の中で「まったく抗がん剤をしなかったことが幸いだった」と話しています。抗がん剤によって体力が低下してなかったので、コロイドヨードの効果が高まったと推測しています。

症例3:前立腺がん発見当初から手術と放射線を拒否

73歳の男性は前立腺がんが見つかりましたが、手術も放射線治療も拒否しました。それで前山医師のクリニックを訪れ、コロイドヨードを内服することになりました。

1カ月でマーカーが正常値に

内服内容は、コロイドヨードを1回30ml、1日4~5回としました。これを1カ月続けたところ、PSAという前立腺がんの腫瘍マーカーの値が正常値に戻りました。
前山医師は、前立腺がんはコロイドヨードで「治しやすいがん」かもしれないとみています。

症例4:前立腺がんの骨転移、激しい痛みが和らぐ

77歳の男性は大の医者嫌いで、腰痛の痛みが我慢できなくなるまで病院を受診しませんでした。そして痛みに耐えかねて病院に行き、検査をすると、前立腺がんが見つかり、しかも骨転移していることがわかりました。
前山医師のクリニックに来た頃にはもう歩けない状態でした。

5日で歩行可能になった

そこで前山医師は、コロイドヨード内服とコロイドヨード点滴を提案し、男性も受け入れました。
腰痛は5日ほどで取れ、歩けるまでに回復しました。その後がんでも、受診した病院で検査したところ「異常なし」と判断されたそうです。

症例5:乳がん摘出手術、抗がん剤、放射線、ホルモン剤でも効果なく

38歳の女性は乳がんがみつかり、乳房を摘出する手術を受けました。その後、抗がん剤、放射線、ホルモン剤といった治療を受けましたが、そこまでしてもなお、がんは拡大し、肺、肝臓、骨に転移してしまいました。

主治医からは、治療法がないと告げられました。
日本の「一般的な」病院では、がんの治療法がなくなると、後は緩和ケアしかありません。しかし女性はまだ38歳という若さです。到底、治療をあきらめる気になれません。
それはそうでしょう。
摘出手術以降の抗がん剤と放射線とホルモン剤による治療は、転移予防のための処置でした。ところが、重要臓器に次々転移してしまったのです。
女性の心中を察するに余りあります。

転移したがんが消失

それで前山医師のところでコロイドヨード治療を受けることにしたのです。コロイドヨード内服とコロイドヨード点滴を続けた結果、約8週間で肺、肝臓、骨の転移がんは消失していました。

 

【前山医師の見解】3大療法の予防効果への疑念と乳がん

次の症例を紹介する前に、前山医師の3大療法に対する見解を紹介します。

直接的な治療と予防的な治療

先ほど紹介した38歳の女性は、乳がん手術で乳房を摘出した後、抗がん剤と放射線とホルモン剤による治療を受けました。この段階では、転移は見つかっていません。
したがってこの4つの治療は、1)乳房摘出手術という直接的ながん治療と、2)抗がん剤、放射線、ホルモン剤という、転移予防効果を期待した治療、の2つにわけることができます。
このうち、ホルモン剤を除いた手術、抗がん剤、放射線の3つの治療は、がんの3大療法と呼ばれています。

完全否定しているわけではない

前山医師は、転移予防効果を期待した治療について、「現在の医療では効果があることは解っていない」と指摘しています(「末期がん 逆転の治療法」167ページ)。
つまり日本や世界の医療界で常識になっている、がんの3大療法の一部に疑念を抱いているわけです。

一般のがん患者さんからすると、乳がんを摘出しても転移の可能性がゼロでなければ、転移予防効果を期待した治療を「受けたい」と思うでしょう。3大療法の一部を拒否することは、患者さんには勇気が要ることです。

そして前山医師も、疑念は持っていても3大療法を完全には否定していません。例えばこの本でも次のように述べているだけです。

(乳がん摘出)手術後は検査だけフォローして、転移がみつかった時点で対策をとるほうがよいのかもしれません
(「末期がん 逆転の治療法」167ページ)

「とるべき」とはせず「とるほうがよいのかもしれない」と、あいまいな表現を使っています。

末期がん患者さんには選択肢が必要

医師によるあいまいな言動は、患者さんによっては不安に感じるかもしれませんが、その必要はありません。
なぜならコロイドヨードを使った末期がん治療は、大学病院や学会や厚生労働省によって「がんの標準的な治療です」と認定されているわけではないからです。
3大療法はがんの標準的な治療になっているので、医師は「この治療でいきましょう。これが標準的な治療ですよ」ということができますが、コロイドヨードではそうはいかないのです。

その代わり3大療法は、その治療効果が期待できなくなると、突如終了します。効果が期待できないのに3大療法を続ければ、健康を害するだけだからです。

しかしコロイドヨードは違います。末期がんの患者さんにも提供することができます。
したがって末期がん患者さんにとっては、前山医師のように「今受けられる治療」を提供し続けてくれる医師のほうが信頼できるはずです。

乳がん治療の難しさ「20年経っても安心できない」

先ほど紹介した、乳がんを発症した女性はまだ38歳という若さです。「3大療法はもう提供できません」と言われても、到底、治療をあきらめる気になれません。
若いから、というだけではありません。
転移予防効果を期待した治療を受けたのに、重要臓器に次々とがんが転移してしまったのですから。

前山医師によると、乳がんほど病状の進行がさまざま変化するがんもないそうです。乳がんは、発生した場所で拡大するものの転移しないことがある一方で、早期に発見できて手術で完全にがんを切除できたと思っても肝臓などに転移することがあります。
一般的ながんでは、5年間再発しなければ「治った」とみなすことができますが、乳がんは20年経っても油断できないといいます。

それでは次の症例を紹介します。

症例6:副作用が強すぎて抗がん剤治療を断念した肺腺がんの患者さん

63歳の男性は肺がんの一種である肺腺がんを発症しました。肺腺がんは肺に水が溜まる「胸水」という症状を引き起こし、患者さんを苦しめます。

男性は発見された段階でステージ4でした。手術は見送られ、放射線治療も効果が低いと考えられたので、消去法的に抗がん剤治療が選ばれました。
しかし男性は抗がん剤治療を受けてからしばらくして、全身倦怠感や嘔吐に悩まされました。このままでは副作用による健康被害が甚大になることから、抗がん剤治療も断念することになりました。

副作用なく、がんが縮小

その後、前山医師のところでコロイドヨード治療を受けました。副作用は出ず、治療を継続できました。
そして3週間後に胸部単純X線撮影を行ったところ、肺腺がんが小さくなっていました。さらに4週間後にはがんが消失しました。

まとめ~「よい事例もある」ことを覚えておこう

コロイドヨードによるがん治療の実態を紹介しました。がんが治った事例もありました。

ただ、コロイドヨードは魔法の薬ではないことを覚えておいてください。前山医師は、3大療法による治療が終了しても、まだ治療の選択肢があることを示したくて、治った症例を本で紹介しているのです。

3大療法は依然として有力な治療法なので、がん患者さんの選択肢から外すのは得策ではありません。したがって患者さんは「コロイドヨード治療だけを受ける」と考えるのではなく、「コロイドヨードを治療の選択肢に加える」といった気持ち持っておいてはいかがでしょうか。