がん治療に携わる医師のなかにはコロイドヨード療法を、がん患者さんに提供する人もいます。しかし、がん患者さんのなかにもコロイドヨード療法を知らない人はいます。もしくは、がん治療に興味があってテレビやインターネットや書籍で情報を集めている人であっても、コロイドヨード療法を知らない人はいます。

コロイドヨード療法はまだ、日本のがん治療の現場に浸透しているとはいえません。
なぜでしょうか。その理由は主に次の2つが考えられます。

  • 医師や患者さんが、コロイドヨード療法を含む「がん代替医療」をあまり信頼していない
  • 医師や患者さんが、手術、抗がん剤、放射線の「がん3大療法」を強く信頼している

この2つの理由の共通点は「信頼」です。この記事では、なぜコロイドヨード療法などのがん代替医療は信頼性が低く、がん3大療法の信頼性が高いのか考えていきます。
そのうえで、コロイドヨード療法などのがん代替医療を、日本に浸透させたほうがよいのか考察していきます。

がん3大療法にも限界がある

抗がん剤を開発している医薬品メーカーのファイザーは、がん3大療法には次のようなデメリットや限界があるとしています(*)。

手術のデメリットと限界

  • 手術のダメージが大きく、回復に時間がかかる
  • 臓器ごとがんを取り除くので、体の機能が失われることがある
  • 小さな転移がんは治療できない
  • 手術ができない部分にがんが発生することがある

抗がん剤のデメリットと限界

  • 副作用が出る可能性がある
  • 抗がん剤の効果が出にくいがんがある
  • 薬品が高額

放射線療法のデメリットと限界

  • 放射線障害が現れることがある
  • 行動の制限が必要になることがある

 

それでも多くの人々が、がん3大療法を「信頼」するのは、個人が持つ情報の質が高く、情報量が多いからでしょう。
がん3大療法については、テレビの医療情報番組で繰り返し紹介されていますし、雑誌でも多く取り上げられています。しかもいずれも、有名大学の有名な教授が解説しています。
したがって国民は、がん3大療法に関する良質な情報を大量に持っています。がん3大療法への信頼が高いのはそのためです。

もちろん、がんを発症したら3大療法を受けるべきでしょう。がん治療で3大療法を優先することは、世界の医療界の共通認識であり、今後しばらくは揺るがない治療方針です。
しかし、がん3大療法であっても、がんを100%治癒させることができないことを知っておいてください。

一方、コロイドヨード療法を含むがん代替医療に関する情報はほとんど世間に出回っていません。しかも東京大学医学部や京都大学医学部をはじめとする、世界レベルにある大学医学部は、ほとんどがん代替医療について研究していません。

したがって国民は、がん代替医療に関する質の高い情報を持っていません。これでは、がん代替医療を信頼することはできません。
「信頼性が低いから信頼できない」と考えることは注意したほうがよいでしょう。
なぜなら、もし自分のがんが、がん3大療法で治せなかったら、信頼できるものがなくなってしまうからです。
コロイドヨード療法などはまさに、がん3大療法に代わる存在だからです。

*:がんを学ぶ「がんの三大医療」

日本のがん治療ではなぜ手術が多いのか

東京都内などに12の健診施設を持つ医療法人社団進興会の森山紀之理事長(医師)によると、日本で手術適応になるがんの多くは、海外では手術を見送るがんなのだそうです。
森山医師は、日本と海外のがん治療には、次のような違いがあるといいます。

  • 日本の医師はすぐに手術をしたがる傾向がある
  • 日本では放射線治療が適していると考えられる患者にも手術をしようとする
  • 日本では根治治療やがんを根こそぎ取り除くことが正しいと考える傾向がある
  • 日本では胃がん手術で、胃と一緒にリンパ節も切除する傾向がある
  • 海外ではリンパ節まで切除するケースは少ない

医師も患者も手術を信頼しているから

日本のがん治療ではなぜ手術が多いのでしょうか。それは、高度な手術を執刀できる医師がいて、手術の信頼性が高いからです。
しかし、がんを取り除く手術は患者さんの体への負担が大きく、がんは取りきれたものの体力が落ちて生活の質が手術前より低下してしまうかもしれません。

最近はインフォームドコンセントが浸透しているので、医師が強引に手術を誘導することはかなり減りました。インフォームドコンセントとは、医師が患者さんに治療の説明をして、多くの選択肢を与え、患者さんが納得して治療を受ける取り組みのことです。

したがって現代のがん患者さんは、手術をしない選択がしやすくなっている、といえます。それでもなぜ、がん患者さんの多くは手術を選択するのでしょうか。
それは患者さんも、医師と同じように手術を信頼しているからです。

信頼が信頼を呼び込んでいるから

がんを宣告された患者さんは、強い不安に駆られます。そのとき医師から「同じような症状が現れた患者さんのほとんどは、手術を選択していますよ」と助言されたら、患者さんは「先生は『手術こそが治癒に近付く道である』と言っている」と勘違いしてしまうでしょう。
つまり、日本のがん治療で手術が多くなる理由は、次のようにいうこともできます。

「手術が多いのは、手術が多いからである」
「がんがみつかったら手術をするのが当たり前」

という雰囲気が、さらに手術は当たり前という雰囲気を強化してしまうのです。

海外で代替医療が受け入れられている理由

日本橋学館大学教授で精神科医の村上千鶴子氏は、論文「諸外国の統合医療の現状と日本の課題-統合医療推進の意義と方策の検討」のなかで、海外における代替医療の情勢を紹介しています。
それによると代替医療はドイツで盛んに行われていて、それが次第にアメリカやイギリスに拡大していきました。

医学部生のころから学ぶから

欧米で代替医療が広がっているのは、大学の医学部に専門の教育プログラムがあるからです。つまり大学医学部が将来の医者たち(医学部生たち)に代替医療を教えているのです。
欧米では、医師が代替医療について良質な情報を大量に持っているので、それで代替医療への信頼が高まっているのです。

また、金沢大学大学院医学系研究科補完代替医療学講座の特任教授、鈴木信孝氏によると、アメリカでは大学医学部の6割が医学部生に代替医療を教えています。
アメリカで脚光を浴びている代替医療は、サプリメント、ハーブ、アロマ、鍼灸、指圧、気功、伝統医学、温泉療法、音楽療法、高加齢医学です。

欧米では、がん治療に代替医療を積極的に取り入れていることがわかりました。ただアメリカでは、日本ほど公的医療保険制度が発展していないので、それで安価な代替医療の研究や活用が進んでいる、と考えることができます。

医療保険制度が整備されていないから代替医療が普及?

最近開発された抗がん剤には、1回の治療に数千万円かかるものもあります。これほど高額になってしまうのは、製薬メーカーの開発費が膨大になったため、完成した抗がん剤を高値で販売しなければ経営が立ち行かなくなるからです。
しかし、日本のように公的医療保険制度がしっかり整備されていれば、数千万円の治療も安い自己負担額だけで受けることができます。
つまり公的医療保険制度が整備されていると、わざわざ代替医療を検討しなくてよくなるわけです。

では、公的医療保険制度が整備されていないために代替医療を選択しなければならないアメリカ人は不幸で、超高額の抗がん剤を安い自己負担金で使える日本人は幸福なのでしょうか。
もちろん、必ずしもそうとは限りません。
なぜなら、医師から「もう、がん3大療法では手の施しようがありません」と言われた末期がん患者さんにとって、試すことができる治療法は代替医療しかないかもしれないからです。
そのような末期がん患者さんにとって、代替医療の研究が進んでいる欧米と、進んでいない日本では、どちらが好ましいといえるでしょうか。
欧米のほうが好ましいでしょう。

末期がん患者さんにも治療の選択肢があることの意義

なぜなら、治療の選択肢がない末期がん患者さんは「座して死を待つ」しかなくなってしまうからです。がんと闘うことができないことは、がんに体をおかされるのと同じくらいつらいことではないでしょうか。
もちろん、延命医療や延命措置を望まないがん患者さんもいって、その意向は尊重されるべきです。しかし「生きたい」と強く願っているがん患者さんに何の医療も提供できないのは、医師としてもつらいはずです。

日本の代替医療としてのコロイドヨードの可能性

日本でももっと代替医療が普及してもよいはずです。少なくとも欧米レベルには達したほうがよいのではないでしょうか。
もちろん、「がん3大療法より代替医療を優先すべきである」ということではありません。しかし、がん3大療法の次の選択肢として、しっかりとした形で代替医療が存在することは、がん患者さんにとって大きなメリットになるはずです。

そして代替医療のよいところは、メニューが豊富な点です。
先ほど紹介した鈴木信孝・金沢大学特任教授によると、日本の代替医療の種類と使用率は次のとおりです。

  • サプリメント42.0%
  • マッサージ31.2%
  • リフレクソロジー20.2%
  • アロマセラピー14.6%
  • 指圧13.2%
  • ハーブ12.3%

欧米の代替医療のメニューの数に比べると少し寂しい印象です。
したがって、ここにコロイドヨード療法が加わることは、とても意義深いことといえます。ヨードは海藻由来の成分です。日本人は昔から、健康を意識しながら海藻を多く食べてきました。したがって、コロイドヨード療法は、日本人の「肌感覚」にしっくりくるはずです。

まとめ~代替医療は大切

代替医療の重要さを理解している人に向かって「代替医療は大切」と言ったら、当然のことだと感じるはずです。
しかし多くのがん患者さんやその家族や、がんに興味を持っている人たちは、まだ代替医療の大切さを実感しているとはいえません。
がん治療は長期化することが珍しくありません。がんの進行度は「ステージ」で表現されますが、がん患者さんは文字通り、人生の「ステージ(舞台)」を変えて治療を受け続けることになります。
そして、あるステージでは、代替医療がとても重要になります。そのステージに居るがん患者さんのためにも、日本でもっとコロイドヨード療法を含む代替医療が注目されてもよいはずです。