コロイドヨード療法を、がん患者さんに提供しているクリニックがあります。
もちろんそのクリニックは、地方厚生局や地域の保健所に登録している正式な医療機関で、コロイドヨード療法を扱っているのは医師免許を保有している医師です。
ところが、大学病院や市立病院といった先進医療機関や大規模医療機関は、コロイドヨード療法を扱っていません。
この違いはなぜ生まれるのでしょうか。
コロイドヨード療法の評判や噂を聞き、「自分も試してみたい」と感じているがん患者さんもいるでしょう。そしてそのなかには、興味はあるものの「本当に大丈夫なのだろうか」と不安になっている患者さんもいると思います。

そこでこの記事では、がん患者さんが「コロイドヨード療法を始めてみたい」と思ったときに、知っておきたい知識を紹介します。
患者さんの疑問に答える形で解説していきます。

患者さんの疑問その1「がんは治るのか」

がん患者さんが最も知りたいことは、「コロイドヨード療法でがんは治るのか」ではないでしょうか。
まず「そもそもの話」になりますが、インターネット上のサイトで「この治療法を受ければ必ずがんは治ります」と表記することは、医薬品医療機器等法(旧薬事法)という法律によって禁止されています(*)。そのような広告を出すことも同様に禁じられています。
したがってこの記事でも「コロイドヨード療法でがんは治る」ということはできません。

では、「治るのか治らないのか」という質問にどのように答えられるかというと、次のような説明になります。

末期がん患者さんにコロイドヨード療法を提供しているクリニックや医師が存在し、実際にコロイドヨード療法を受けている末期がん患者さんがいる

つまり、医師免許を持ち、がんの治療に携わったことがある医師が、コロイドヨード療法をがん患者さんに提供した「実績はある」ということになります。

そしてこの「実績」についても注意してください。
がん治療の実績といった場合、「5年生存率」という指標が使われます。5年生存率とは、がん患者さんにある治療を提供し、5年後に何%の人が生存しているかという確率のことです。5年生存率が高いと「実績があるがん治療」とみなされるようになります。
そして5年生存率を確定させるには、大学医学部などの研究機関が統計学や疫学などのルールに基づいて大規模な調査を実施しなければなりません。

コロイドヨード療法では、5年生存率を計測する正式な調査は行われていません。したがって、「コロイドヨード療法には実績がある」といっても、例えば、厚生労働省が認定している「抗がん剤の治療実績」とは異なります。

では、コロイドヨード療法の実績には意味がないのかというと、もちろんそのようなことはありません。
次の疑問をみてみましょう。

*:医薬品医療機器等法 第六十六条・第六十七条

患者さんの疑問その2「コロイドヨードの実績には意味がないのか」

コロイドヨード療法が、医師によってがん患者さんに提供されている実績には、次のような意味があります。

3大がん療法ではもう手の施しようがないほどがんが進行してしまった患者さんの望みにつながる

3大がん療法とは手術、化学療法、放射線療法のことです。最近では、これに免疫療法を加えて4大がん療法と呼ぶこともあります。コロイドヨード療法はこの4つには含まれません。
この4つのがん療法は、厚生労働省が認定しています。
しかしこの4つのがん療法には「限界」があります。

例えば手術でがん細胞を切除する方法は、がんの転移が進んでしまうと実施できないことがあります。また、化学療法で使われる抗がん剤のなかには副作用が強いものがあり、がん細胞を叩きながらも、同時にさまざまな臓器を傷つけることがあります。したがって抗がん剤を無制限に患者さんに投与することはできません。
放射線療法でも、人が浴びてよい放射線量には限界があるので、長期にわたって受け続けることはできません。
免疫療法はまだ新しい治療法なので、効果が期待できるがんは限られています。

したがって3大がん療法や免疫療法を手掛けている医療機関では、患者さんが生存しているにも関わらず、ときに「もう治療法はない」と判断することがあるのです。
その状況は、がん患者さんにとってはとてもつらいものです。

そのようなとき、コロイドヨード療法の実績が「希望の光」になることがあります。
3大がん療法を提供している医師のなかには、自身ではコロイドヨード療法は手掛けないものの、末期がん患者さんから「コロイドヨード療法を試してみたい」と相談されたら、否定しない人もいます。
それはコロイドヨード療法には、医師免許を持った医師が提供している実績があるからです。
これがコロイドヨードの実績の意味です。

患者さんの疑問その3「どのように投与するのか」

コロイドヨードの名称は知っていても、「どのような形(なり)をしているのか知らない」という人は少なくありません。
コロイドヨードは液体で、患者さんには次の5とおりで投与します。

・経口投与(患者さんが飲む)
・点滴投与
・注射投与
・吸引
・塗布(幹部に塗る)

経口投与はそのままコロイドヨードを飲む方法です。点滴投与と注射投与は、血管の中に直接コロイドヨードを投与する方法です。
がん患者さんには、経口、点滴、注射で投与することが多いようです。
吸引は、肺疾患の患者さんに対して行われます。医師によってはがん患者さんだけでなく、肺の病気の患者さんにもコロイドヨード療法を提供することがあります。
そして皮膚疾患の患者さんには、クリーム状にしたコロイドヨードを、塗り薬の要領で患部に塗ります。

患者さんの疑問その4「医師はどのように考えているのか」

コロイドヨード療法を提供している医師は、この療法についてどのように考えているのでしょうか。

あるクリニックの医師は、コロイドヨード療法は正常細胞を傷つけず、がん細胞のみに関与すると考えています。この医師はコロイドヨードの主成分であるヨードに殺菌効果があることからがん患者さんに提供している、と述べています。

さらに別の医師は、コロイドヨードには免疫力を回復させる効果があるのではないか、とみています。がん細胞は、がん患者ではない健康な人の体内でも常に生まれています。それでも健康な人が「がんという病気」を発症しないのは、免疫力が誕生したばかりのがん細胞を退治しているからです。

そういった意味では、がん患者さんは免疫力が落ちたことでがん細胞が急増し「がんという病気」を発症した、といえるのです。
したがって、コロイドヨードに免疫を高める効果があるのであれば、がん患者さんに投与するのは「理にかなっている」といえるでしょう。

患者さんの疑問その5「なぜ大規模病院は使っていないのか」

コロイドヨード療法はなぜ、クリニックの院長など複数の医師によってがん患者さんに投与されているにも関わらず、大学病院やがん拠点病院や市立病院といった大規模病院では提供されていないのでしょうか。
このような大規模病院が「コロイドヨード療法を提供しない理由」を明示しているわけではないのですが、その理由を推測することはできます。

まず考えられるのは、コロイドヨード療法が、厚生労働省が認定している保険医療ではないからです。保険医療とは、健康保険などの公的医療保険が使える医療のことです。
コロイドヨード療法は公的医療保険を使うことはできず、費用は患者さんが全額自己負担しなければなりません。
大規模病院は原則、保険医療を提供することが求められているので、コロイドヨード療法を手掛けていないのだろうと推測できます。

また大学病院の場合、保険医療でなくても先進医療であれば患者さんに提供することがあります。しかしコロイドヨード療法は先進医療ではありません。ヨードは100年以上前から消毒などで医療現場で使われてきました。先進医療は「これまでになかった医療」であり「長年の研究の末に開発した医療」なので、コロイドヨード療法はその対象外となります。

さらに、コロイドヨード療法を使ったがん治療の大規模調査が行われていない、という事情もあります。例えば市立病院であれば、「大規模調査が行われていない治療法を市民に提供する必要があるのか」と考えるかもしれません。
市立病院は税金で運営されているので、多くの納税者が納得できる治療を優先して提供しなければなりません。がんを治療するのであれば、保険医療の対象になっている手術、化学療法、放射線療法を充実させることが求められるでしょう。

このように大規模病院には、保険医療ではない治療法をわざわざ実施するモチベーションがないのです。
一方、クリニックであれば、院長が決断するだけでコロイドヨード療法を提供することができます。そのためコロイドヨード療法は、大規模病院ではなくクリニックで提供されているのです。

患者さんの疑問その6「副作用はあるのか」

コロイドヨード療法を検討している方は副作用が気になるのではないでしょうか。
コロイドヨードには重大な副作用はないとされています。ヨードはワカメや昆布などの海藻に含まれている成分なので、安心して服用できます。
もちろん、副作用がまったくないわけではありません。ただコロイドヨードは医薬品ではないので、副作用が公表されていません。したがって副作用については患者さん自身が、コロイドヨード療法を提供している医師に確認する必要があります。

ただ、一般的なヨードはそのまま飲用したりすると「毒」になってしまうので注意してください。例えば、ヨードチンキという消毒液を飲めば、著しく健康を害します。
コロイドヨードもヨードを主成分としているので、使用や服用は必ず医師の指示にしたがってください。

まとめ~疑問をすべて解消してから受けてください

がん治療において、手術、化学療法、放射線療法が一般的な治療法だとすると、コロイドヨード療法は特殊な施術となります。そのため患者さんは、疑問をすべて解消してから受けたほうがよいでしょう。
コロイドヨード療法を提供しているクリニックの医師に話を聞き、納得してから受けるようにしてください。