コロイドヨードは「がんの代替療法」と呼ばれることがあります。がんの代替療法は、がんの治療を行っている医師が、がん患者さんにすすめることがあります。
がんの代替療法は、厚生労働省が認可しているがんの治療法ではありませんが、国内だけではなく海外でも注目されています。
この記事では、そもそもがんの代替療法とはどのようなものなのかを解説したうえで、コロイドヨードを含む代表的ながんの代替療法を計6つ紹介します。

がんの代替療法とは

がんの代替療法は、がん患者さんと医師が、がんを治す目的で使いますが、厚生労働省が明確に「がんの治療法」と位置付けているものではありません。
また、がんの代替療法は、がんを発症した患者さんが真っ先に取り組むべきものでもありません。

厚生労働省が認定している「がんの治療法」は主に、手術、化学療法、放射線療法の3つです。手術とは、外科医がメスでがん細胞を取り除く治療法です。化学療法は抗がん剤という薬でがん細胞を死滅させる治療法です。放射線療法は、がん細胞に放射線を当てる治療法です。
また最近は、これらのがん3大がん療法に加えて、免疫療法も注目されています。免疫療法は「4番目のがん治療法」と期待されていて、こちらも厚生労働省が認定しています。

がんがみつかった患者さんは、まずは3大がん療法で治癒を目指します。もしくはそこに免疫療法が加わることがあります。
しかし、がんの代替療法は、がんがみつかった当初から使われることはありません。

では、どのようながん患者さんが、がんの代替療法を受けているのでしょうか。
それは、末期がんの患者さんや、医師から「もう3大がん療法や免疫療法を行っても治る見込みはありません」と宣告されたがん患者さんたちです。

がんの代替療法とは、3大がん療法でもなく、免疫療法でもありません。したがって、がんの代替療法に興味を持たれたがん患者さんは、がんの代替療法を始める前に、3大がん療法を受けた主治医に相談したほうがよいでしょう。
主治医の許可をもらったうえでがんの代替療法を試すことを強くおすすめします。

国立がん研究センターの見解

国内のがん治療拠点のひとつに、国立研究開発法人国立がん研究センターがあります。国立がん研究センターは、がんの代替療法について次のような見解を示しています(*1)。

  • がんの代替療法には健康食品やサプリメントなどがあり、その有効性や安全性を科学的な方法で評価しようという気運が世界的に高まっている
  • これまでに行われた研究を検討して、がんの代替療法の有効性と安全性についてどこまでわかっているかを整理するという試みも始まっている
  • 代替とは「代わり」という意味であり、がんの代替療法は通常のがん治療(3大がん療法)の代わりに行われる治療法のことである

*1:国立がん研究センター 代替療法(健康食品やサプリメント)

以下で紹介する、「コロイドヨード」「超高濃度ビタミンC」「オゾン療法」「温熱療法」「野菜や玄米中心の食事」「フコイダン」も、国立がん研究センターが示す枠組みのなかで行われているものです。

コロイドヨード

最初に紹介するがんの代替療法は、コロイドヨードです。コロイドヨードは、国内の複数のクリニックの院長などの医師が、末期がん患者さんに提案しています。
コロイドヨードとは、ヨードをコロイド状にしたものです。

コロイドとは、ヨードとは

コロイド状とは2つ以上の物質が混ざり合った状態のことで、コロイドヨードは、有機ヨウ素(ヨード)と水酸化ナトリウム、過酸化水素、アルカリイオン水が混ざった液体です。
コロイドヨードの主成分であるヨードは、昆布やワカメなどの海藻などに含まれている成分です。ヨードは人の健康に欠かすことができない成分で、甲状腺ホルモンの材料になっています。
甲状腺とは、喉(のど)にある小さな臓器で、甲状腺ホルモンをつくっています。甲状腺ホルモンは人の成長に深く関わっていて、体調を整える機能も備わっています。

コロイドヨードは治療による副作用が少なく、がん細胞以外の正常細胞は傷つけずにがん細胞のみを直接攻撃し死滅させることができる、正常細胞を活性化させるなどの効果が見込めると期待されており、世界的にも注目されております。

クリニックではどのようにコロイドヨードを使っているのか

コロイドヨードの服用方法は、クリニックの医師によって異なります。
患者さんにコロイドヨードの液体を飲むようにすすめる医師もいます。
また点滴で投与したり、吸入させたりすることもあります。

コロイドヨードは末期がんの患者さんだけでなく、肺の病気にかかっている患者さんに使うこともあります。吸入方法は肺の病気を発症した患者さんに使われる方法です。
また皮膚疾患の患者さんには、コロイドヨードをクリーム状にしたもの患部に塗ることもあります。

コロイドヨードについては以下のURLでも詳しく解説していますので、参考にしてみてください。

ヨード治療とは? 副作用・適応症・食事制限など解説

超高濃度ビタミンC

超高濃度ビタミンCも、歴史があるがんの代替療法です。文字通り、通常のビタミンCサプリメントよりはるかに濃度が高いビタミンCを投与する療法です。

15~100グラムほどの超高濃度ビタミンCを、点滴で患者さんに投与します。このわずかな量にレモン750~5,000個分のビタミンCが含まれています。
点滴で投与していることがポイントです。点滴で投与することで、超高濃度ビタミンCを血管に直接流し込むことができます。
レモン果汁を飲む場合、そのなかのビタミンCは小腸で吸収され血液に入ります。その間に「ロス」が生じるので、口から飲む経口摂取は高い効果は期待できません。
血管に直接超高濃度ビタミンCを投与することで効果を期待することができるのです。

超高濃度ビタミンC療法で使われているビタミンC溶液は特殊な加工を施されているので、血管内に投与しても安全です。

抗酸化作用を活用する

ビタミンCには抗酸化作用があります。「酸化」とは体を錆(さ)びさせることで、老化の原因になります。「抗酸化」とは酸化に対抗するという意味ですので、そのため抗酸化作用があるビタミンCは美容目的で使われることがあります。
超高濃度のビタミンCを摂取すると、過酸化水素が発生し、これが抗酸化作用を生み出します。
そして過酸化水素ががん細胞を死滅させるのです。

ただ、ここで注意が必要なのですが、次のAとBは同じではありません。
A:超高濃度ビタミンCは過酸化水素を発生させる
B:過酸化水素はがん細胞を死滅させる

AもBも正しいのですが、しかし「超高濃度ビタミンCががんを完全に治した」というエビデンス(証拠、根拠)はまだ出ていません。
したがって、やはり超高濃度ビタミンC療法も、がんの代替療法ではありますが、3大がん療法に「肩を並べる」治療法とはいえないのです。

オゾン療法

オゾン療法もがんの代替療法として紹介されることがあります。オゾンとは、3つの酸素原子「O(オー)」からなる分子で、O3と表記します。酸素原子2つのO2は酸素なので、オゾンは酸素に近い分子です。
オゾンには防腐、殺菌、漂白といった効果があります。
オゾン療法は、血液クレンジング療法と呼ばれることがあります。つまり血液をオゾンで洗浄(クレンジング)するのです。
患者さんから一定量の血液を取り出し、その血液をオゾンにさらし、その後その血液を体内に戻します。
医師によっては、オゾン療法をダイエットや美白、美肌の目的で施術することがあります。

温熱療法

温熱療法の原理はとても単純で体を温めるだけです。がん細胞は熱に弱いという性質があるので、熱で死滅させようというのが、温熱療法です。
ただ体の温め方は単純ではありません。なぜなら、正常細胞も熱に強いわけではないからです。つまり、体を温めすぎてしまうと、がん細胞と一緒の正常細胞も破壊されてしまうので、仮にがん細胞が死滅したとしても健康を害する可能性があるのです。

フコイダン

フコイダンはモズクやメカブなどの「ぬるぬる」した部分から抽出した成分です。水溶性の食物繊維という性質を持っていて、成分の正式名称は「硫酸化フコース」といいます。
フコイダンは100年以上前に発見されましたが、日本で人の生理機能への影響が研究され始めたのは2000年ごろといわれています。

フコイダンを研究している九州大学大学院農学研究院細胞制御工学分野の助教、照屋輝一郎氏は「がん治療で抗がん剤とフコイダンを併用した医師が、『フコイダンが治療効果に影響を与えている』と話している」と述べています(*2)。
照屋氏たちの研究チームは、フコイダンがなぜ、抗がん剤の治療効果に影響を与えているのか調べました。

シスプラチンとマイトマイシンCという2つの抗がん剤を使い、そこにフコイダンを加えた場合と加えなかった場合で、がん細胞のアポトーシスがどの程度生じるのか調べました。
アポトーシスとは「細胞の自然死」という意味です。つまり、がん細胞のアポトーシスが増えるほど、治療効果が高くなります。
照屋氏たちの研究で、抗がん剤にフコイダンを加えたほうが、がん細胞がアポトーシスを起す確率が高くなることがわかりました。

*2:九州大学大学院 海藻由来酵素消化 低分子化フコイダンの抗腫瘍効果を中心とした研究

野菜や玄米中心の食事

食事療法は、数あるがんの代替療法のなかでも特にマイルドで、しかも誰でも取り組むことができるので「おすすめ度」は高いといえます。
食事によるがんの代替療法で有名なのがマクロバイオテック食です。「マクロビテック食」や、縮めて「マクロビ」と呼ばれることもあります。
マクロバイオテック食は肉や魚を極力避けて、野菜と玄米中心の食事を摂る方法です。したがって副作用を心配する必要はありません。
さらに、マクロバイオテック食は、アメリカのハーバード大学の研究グループが、がんの代替療法として「容認(ただし経過観察が必要)」できると評価しています。

ちなみにビタミンCサプリメントについてハーバード大学の研究グループは「反対(ただし経過観察が必要)」という評価を下しています。

まとめ~冷静に検討を

がんの代替療法は、3大がん療法や免疫療法と異なり、大学病院や国の機関などが研究や臨床試験を重ねて開発したものではありません。信頼できる研究機関が大規模な調査を行って「がんの治療が期待できる」と証明した治療法でもありません。
しかしがんの代替療法のなかには、医師免許を保有している医師が施術しているものもあります。つまり「使用実績がある」ということです。
また、3大がん療法では手の施しようがないほどがんが進行してしまえば、後はがんの代替療法を試すしかない、という状況も生まれます。
したがってがんの代替療法を受けようと考えている方は、主治医に相談するなどして、冷静に検討してください。