5-ALA(5-アミノレブリン酸)はスポーツやダイエットをしている人の間で注目されている成分です。
研究により「5-ALAには運動効率を高める効果がある」と報告されていて、マスターズ陸上のトップ選手なども愛用しており、有名パーソナルジムやヨガスタジオでも5-ALA配合のサプリを取り扱っており、「トレーニングやダイエットを頑張るための必需品」との声も。
今回は5-ALAと運動の関係や、5-ALAで運動効率が高まるメカニズムについて紹介します。
5-ALAはスポーツ選手も愛用
5-ALAはスポーツジムやヨガスタジオなどで活用されているほか、個人でトレーニングに取り組む人にも愛用されています。
トップアスリートも5-ALAを愛用
マスターズ陸上で活躍する陸上選手も、5-ALAを愛用しています。
例えば5-ALA配合サプリである「アラプラス」シリーズがサポートしているのは、46歳・47歳・50歳フルマラソン年代別日本記録保持者である平塚潤選手(城西大学准教授)。
年齢を重ねてもトレーニングを続けて記録を狙うアスリートが愛飲しているのですから、効果がありそうですよね。
アスリートの5-ALA活用法は?
フルマラソン3時間切りのランナーも多く所属するランニングクラブ「ドリームアシストクラブ」のメンバーも、代表の折内一昭さんにすすめられて5-ALAを愛用しているそう。
「ロング走の前に飲む」「スピード練習よりも、距離走にオススメ」という人が多いようです。
かつてスターツやユニクロの陸上部に所属し、現在はランニングコーチである森川千明さんも練習前後に5-ALAを飲んでいるのだとか。
次からは、5-ALAがアスリートたちから支持されている理由について解説します。
持久力の向上が期待できる
5-ALAを摂取することで、持久力の向上が見込めることが研究で明らかになっています。そのメカニズムを紹介します。
5-ALAはエネルギー生産に不可欠
5-ALAはヒトをはじめとする動物、そして植物の細胞内にあるミトコンドリアに存在するアミノ酸。
ミトコンドリアはほとんどの細胞の中にある細胞小器官で、「エネルギー工場」と呼ばれることも。
ミトコンドリアには、健康維持・運動に必要なエネルギー(ATP)を生み出す働きがあります。このエネルギー生産に重要な役割を果たしているのが5-ALAなのです。
ミトコンドリアでのエネルギー生産のメカニズム
ミトコンドリアではどのようにエネルギーがつくられているのでしょうか。
ミトコンドリア内では、糖と脂質を代謝することで、ATPと代謝水の生産が行われています。
ATPはさきほども説明したように身体に欠かせないエネルギーであり、代謝水は身体や肌の水分保持に欠かせません。
では5-ALAはこのATPの生成にどう関わっているのでしょう。
5-ALAからつくられるプロトポルフィリンは鉄と結合して「ヘム」と呼ばれる物質を作ります。
このヘムがミトコンドリアのATP生産で必要不可欠な物質なのです。ヘムが少ないと、ミトコンドリアはATPを効率的につくれなくなります。
その結果として活性酸素が増加し、身体に「疲れ」「息切れ」などの不調があらわれてしまいます。
5-ALAには持久力アップ効果があることが明らかに
当然のことながら、運動にはエネルギーが必要。
ですから5-ALAも運動パフォーマンスの向上に重要な役割を果たしていると考えられ、研究がすすめられてきました。
実際に行われた研究には、以下のようなものがあります。
それはマウスに5-ALAを摂取させた実験です。その研究では「マウスに5-ALAを与えると、疲労困憊に到るまでの走行距離が伸びた」という結果が報告されています。
5-ALAを摂取することで細胞中でつくられるエネルギーが増え、マウスの持久力が向上したのでしょう。
持久系トレーニングで5-ALAを活用するアスリート多数
実際に5-ALAを愛飲している市民ランナーのみなさんも「スピード練習よりも距離走にオススメ」とコメントしていましたよね。
5-ALAは持久系のトレーニングをする際の、心強い味方になりそうです。
もちろん陸上の長距離種目だけではなく、スイミング、サイクリング、登山などでも効果が期待できます。
5-ALAで筋トレの効果がアップする可能性あり
5-ALAを摂取することで、筋肉の合成にも有利に働く可能性があるということもわかってきました。詳しく紹介します。
5-ALAでマウスの筋肉量が増加
慶應義塾大学で行われた研究では「5-ALAを投与したマウスは、筋力が向上し、骨格筋量も増加した」という結果がでました。
そのメカニズムを説明しますね。
筋肉をつくるのに重要な役割を果たしているのは、「バリン」「ロイシン」「イソロイシン」という3つの必須アミノ酸(分岐鎖アミノ酸)です。
3つをまとめてBCAAと呼び、このBCAAが筋肉タンパク質の約35%を占めています。
BCAAはBCAT(分岐鎖アミノ酸アミノ転移酵素)という酵素によって分解されてしまうのですが、5-ALAを投与したマウスではこのBCATの発現が抑制されました。
つまり5-ALAを摂取することで、BCAAの分解酵素であるBCATの働きを抑えることができるのです。そのため、筋肉量が増加したと考えられます。
酵素が抑制されることで、つくられた筋肉が維持され、筋トレ効果がアップする可能性があることがわかりますね。
筋肉量増加はアスリート以外にもメリットが
筋肉量の増加は、アスリートのみならず高齢者にとってもメリットがあります。
たとえば、筋力が低下し「ペットボトルのふたを開けられない」「脚があがらず、よくつまずく」といった日常生活での困りごとが増えてしまう「サルコペニア」という症状があります。
サルコペニアは甲状腺の病気などが原因で起こることもありますが、加齢によって引き起こされるケースも多い症状です。
身体機能が低下して日常生活が不便になってしまう症状なので、「サルコペニアを予防したい」「いつまでも、身の回りのことは自分でやりたい」と考えている人にとっても、5-ALAの筋力増強効果は嬉しい情報ではないでしょうか。
運動効率が向上してトレーニング強度をあげられる
5-ALAには酸素の利用効率をあげ、乳酸がつくられるのを抑える効果もあります。その結果、トレーニング強度をあげることが可能になるのです。
年齢とともに運動効率は低下する
加齢とともにエネルギー代謝は低下します。エネルギー代謝が低下するとどうなるかというと、トレーニング時に酸素を効率的に利用できなくなります。
すると疲労の原因になる「乳酸」がたまりやすくなってしまい、息切れや筋肉の疲労感につながります。
運動している人ならわかると思いますが、足やお尻に乳酸がたまってくる感覚って「ガッツリ運動したな」という実感にもなるのですが、思うように足が動かせなくなってツライですよね。
乳酸がたまってくると、トレーニングを続けるのが難しくなります。
乳酸が「キツさ」を引き起こすメカニズム
トレーニングをしているとき、人は糖をエネルギーとして使っています。糖が分解されるときにつくられるのが乳酸です。
乳酸がつくられるときに水素イオンも発生して、筋肉が酸性にかたむいて筋肉痛の原因になると言われています。
さらに筋肉痛が進むと、筋肉の収縮ができなくなります。筋肉が収縮できないと身体は困るので、筋肉中にできた乳酸は血中に排出されていきます。
すると今度は、息切れが起こってしまいます。血中の水素イオンを体外に逃がそうとして、激しく呼吸するからです。
これが乳酸がトレーニングのキツさを引き起こすメカニズムです。
乳酸が減れば、トレーニングをきつく感じることも減り、トレーニング強度をあげることが可能になります。
5-ALAで運動効率がアップする
そこで活躍するのが、実は5-ALAなんです。
5-ALAはエネルギーの代謝にかかわるアミノ酸なので、5-ALAを摂取することで酸素の利用効率があがります。その結果、乳酸もたまりにくくなると考えられています。
実際に5-ALAを摂取した人では、酸素摂取量が低下(酸素の利用効率があがっている)し、血中の乳酸濃度も低下することが、SBIファーマと信州大学の共同研究で報告されています。
酸素摂取量 | 5-ALA摂取により12%低下 |
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二酸化炭素排出量 | 5-ALA摂取により11%低下 |
血中乳酸濃度 | 5-ALA摂取により16%低下 |
運動効率が高まれば運動量が増える
運動効率があがると、何が起こるのでしょうか。
それは、運動する時間や量の増加です。トレーニングの強度をあげることができるのです。
トレーニングをしている・していた人ならばちょっと想像すればわかるように、乳酸がたまりにくくなれば、その分長く運動できます。
トレーニングのあと「ああ、もうダメ…筋肉がわれそう」と倒れ込むのは、乳酸のせいですものね。
また息切れしにくくなれば、やはり運動を長く続けられます。
5-ALAによる運動量向上についても、信州大学で行われた研究で証明されています。
「早く歩く」のと「ゆっくり歩く」のを数分間ずつ交互に繰り返す「インターバル速歩トレーニング」をしている65歳前後の女性が5-ALAを摂取した結果、トレーニング強度は以下のように変化しました。
トレーニング日数 | 5-ALA摂取期間は42%増加 |
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早歩きの強度 | 5-ALA摂取期間は102%増加 |
トレーニング時間 | 5-ALA摂取期間は69%増加 |
5-ALAを摂取することで運動量や強度が増すので、ワンランク上の運動ができるといえますね。
5-ALAには運動時の熱中症リスクを下げる可能性も?
夏のトレーニングには、熱中症のリスクがつきまといます。
運動時の服装や塩分・水分補給に気をつけていたのに「熱中症になってしまった、なりかけた」という人もいるのではないでしょうか。
命に関わることもありますから、とても危険ですよね。
実は運動したときに体内に発生する乳酸が、熱中症のリスクをあげることが上越教育大学の研究でわかっています。
5-ALAは乳酸がつくられるのを抑えるので、熱中症のリスクを下げる効果が期待できそうですね。
まだ研究の初期段階ではありますが、5-ALAには熱中症リスク低減に活用できる可能性があると考えられます。
5-ALAの効果を高めるために気をつけたいこと
5-ALAの運動効率アップ効果を高めるためには、5-ALA以外のアミノ酸のとり方にも注意しておきたいもの。
端的にいうと「必要なアミノ酸をバランス良く摂りましょう」ということです。
アミノ酸は「必須アミノ酸」「非必須アミノ酸」にわかれていて、5-ALAは非必須アミノ酸にあたります。
必須アミノ酸 | 体内では合成されないため、食べ物から補給する必要がある。バリン、ロイシン、イソロイシン(BCAA)など。 |
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非必須アミノ酸 | 体内で合成される。グリシン、アスパラギン酸、グルタミン酸など。 |
まずは体内では生産できないBCAAなどの必須アミノ酸をきちんと摂取することが大切。
そのうえで「加齢とともに体内でつくられる量が減っていく5‐ALA」をサプリメントを使って効率的に摂取することで、トレーニングの効果を高めることが可能になります。
また5-ALAと結合してヘムをつくりだす「鉄」も重要ですよ。
どんな栄養素でもそうですが、「5-ALAだけ摂ればいい」というわけではないので注意してくださいね。
まとめ ~5-ALAの摂取と栄養バランスが大切~
5-ALAには運動効率を高める効果があることが、さまざまな大学・研究機関の研究でわかってきました。
そのためパーソナルジムでも摂取を推奨しているところがあるほか、記録を目指してトレーニングをしているアスリートも愛用しています。
とくに持久力の向上、筋力トレーニングの効果アップ、トレーニング負荷を重くできるなどの効果が期待できますよ。
なお5-ALAの摂取は、アスリートだけではなく「できるだけ筋力を落としたくない」という年配の方にもオススメ。
ただし「5-ALAだけ摂れば全てが解決する」というわけではありません。他の栄養素とバランスをとりながら取り入れることが大切です。